麻呂クローカ＊大江戸ぴかぴか之巻＊

― おーい、たれか、たれかある！

― ははーっ。 ぼっちゃま、御用で？

― うむ。おじさんか。 なにやら耶蘇の国では、麻呂たちサモエドは 『一年中クリスマスの笑顔と心を持った犬』 といわれているという話でおじゃる。日本でいえば、 『盆暮れ正月笑い放題で福来たる』 というところか。

― やや違うような気もしますが。

― まあよい。どれ、麻呂もひとつ江戸の目出度いぴかぴかを皆に見せるでおじゃる。

― 御意にござります。ではさっそく参りましょうか。

― ということで、えっちらおっちらおじさんと走ってきたところは 『東京タワー』 でおじゃる。

― って、タワーが全然見えぬではないか。

― ぼっちゃま、三歩お下がりくださいませ。

― そ、そうか。


― うむ。やはり御江戸で一番目立つぴかぴかはこれに限るでおじゃる。

― 確かに。では、もう少しがんばってタワー真下まで行くとしましょう。


― ふ～、やれやれ、到着まで小1時間かかったでおじゃるな。

― ぼっちゃまがニオイ嗅ぎやらマーキングやらで道草食わなければ、とっくのとーちゃん着いておりまする。

― なにを申すか。道中、文をしたためるのが礼儀というもの。素通りなどと無粋な行い、麻呂にはできぬでおじゃる。

― 物は言い様ですな。

― それはそうと、ここへ参ったからには詣でなければならぬところがあるぞよ。


― 『南極観測ではたらいたカラフト犬の記念像』 ですな。南極昭和基地に置き去りにされたカラフト犬15頭のうち、奇跡的に生き延びたタロ・ジロが発見されたのを機に、日本動物愛護協会が 『動物愛護』 のシンボルとして、昭和34年当時開業したばかりの東京タワーに記念像を造った、ということです。（東京タワー公式HPより）

― ふむ。おじさん、長い説明をありがとうでおじゃる。


― しかし、こうした先犬たちの苦労あってこそ、麻呂たちがのほほんとペットをやっておられるのを感謝せねばなるまいな。

― タロ・ジロさんたちの生涯はここに詳しく紹介されておりまする。

⇒ 稚内市青少年科学館 『樺太犬タロ･ジロの一生』


― などと感傷に浸っておったら、またもや観光客の団体さんに囲まれてしまったでおじゃる。

― やれやれ、ぼっちゃまはどこへ行っても人気者ですな。

― どれ、もう少しクリスマスらしい派手な飾り付けはないものか。


― ぼっちゃま、こちらにツリーがございますよ。

― これ、おじさんや。どうにも今日は仰角の写真ばかりでおじゃるな。麻呂は鼻毛など生えておらぬからいいようなものの。

― 今宵はこの辺までといたしましょうか。奇しくも今日は冬至、夜がもっとも長い時期にございます。ゆっくりとゆず湯に浸かり、南瓜を食すれば風邪知らずと申します。

― 麻呂は湯は遠慮するが、南瓜は食べるでおじゃる。善は急げじゃ！


― ということで、麻呂の 『大江戸ぴかぴか案内』 は楽しんでいただけたでおじゃるかな。皆の無病息災を祈りつつ、本日これにて。

では、いっただっきまーす！でおじゃる。^o^／


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